前立腺がんとは、男性だけにある前立腺という臓器ががんになってしまうことです。

前立腺にまつわる病気と、勃起障害は大きく関係しています。

「勃起障害と前立腺がん」

■前立腺がんについて

前立腺がんとは、男性だけにある前立腺という臓器ががんになってしまうことです。前立腺は生殖器ですので、生殖活動には欠かせません。しかし、前立腺が無くても生きていくことは可能です。前立腺は約3センチの栗くらいの大きさで、重さは成人の男性で15gほどです。 前立腺の内部は、尿道の回りにある内腺と、この回りにある外腺に分かれています。

前立腺がんとはこの外腺に多く発病します。 なお、初期症状がわかりにくく、早めの検査が必要とされています。自覚症状としては、尿の回数が多くなる頻尿や、排尿しても尿が残っている感じがする残尿感、尿の切れが悪くなるといったことがあります。しかし、前立腺がんによるこのような兆候は、中期に近い兆候になっていますので、この時点で泌尿器科へ行き検査を受ける必要があります。

■勃起障害と前立腺がん

前立腺がんの治療は主に、「手術で前立腺を精のうごと摘出」、「放射線」、「男性ホルモンの分泌を抑える」の三つがあります。いずれも、勃起障害(ED)が起きる恐れがあります。 陰茎の勃起は、性的な興奮や刺激などで、陰茎海綿体に血液が流入することで起きます。しかし、関係する神経や血管が前立腺のすぐ脇を通っており、手術や放射線照射で傷つけられたり、切断されたりすると、術後に勃起や射精ができなくなります。 手術では、がんを取り残さないよう、神経を含めて切除することが多く、高い確率でEDが起きます。ごく初期のがんに限り、神経を温存する手術法もありますが、高度な技術が必要です。また、この手術法でもEDを完全には避けられません。

「手術の選択と治療」

■手術によって神経が切除されていると、機能回復は難しくなります。

そうした場合には、陰茎内の圧力を外部より低くして、血液を流入させる「陰圧式」の補助器具を使い、性交前に人工的に勃起状態を作り出す方法があります。 神経が残っている場合は、ED治療薬を医師の処方で定期的に服用し徐々に機能を取り戻す治療法があります。また、陰圧式の勃起補助具を使って陰茎をトレーニングする方法もあります。

なお、前立腺がんの手術にあたっては、「性機能の温存」を優先すべきかどうかを考える必要があります。前立腺がんは50代以降に増えます。また、60代~70代の初診患者も少なくなくありません。従って、年齢の上では子作りの必要はなくなります。しかし、パートナーとの良好な関係を続けるためにも、よく話し合った上で結論を出す必要があります。 以上から、手術にあたっては、専門医の診断を受けながら、自分とパートナーにとって、最善の治療法を選択することが大切です。

「勃起障害と前立腺肥大」

■前立腺肥大

前立腺肥大は、80歳までに80%の人がなるといわれています。原因として、年齢と男性ホルモンが発症・進展に深く関与しています。また、前立腺がんと合併していることもあります。 前立腺肥大と前立腺がんは異なる病気で、発生する部位も異なります。前立腺肥大は、良性腫瘍で、前立腺の内部(尿道をとりかこんでいる部分:移行ゾーン、内腺)から発生するため、肥大が進むと尿道や膀胱を圧迫しやすく、排尿障害が起きやすくなります。体内の他の場所へ転移もしません。

一方、前立腺がんは悪性腫瘍で、前立腺の外側(尿道から離れた部分:辺縁ゾーン、外腺)から多く発生し、骨やリンパ節などに転移します。 二つはまったく別の病気であり、同時に発生することはあっても前立腺肥大ががんに変化することはありません。 前立腺肥大は致死性の疾患ではありませんが、勃起障害(ED)など、QOL(生活の質)を低める状況が長く続く病気です。年齢にともなって発症率が高くなる病気であり、改善が非常に望まれる疾患の一つです。

■勃起障害と前立腺肥大

前立腺肥大は、「排尿後、まだ尿が残っている感じがする(残尿感)」、「トイレが近い(頻尿)」、「尿が途中で途切れる(尿線途絶)」、「急に、尿意をもよおし、もれそうで我慢できない(尿意切迫感)」、「尿の勢いが弱い(尿勢低下)」、「おなかに力を入れないと尿が出ない(腹圧排尿)」、「夜中に何度もトイレに起きる(夜間頻尿)」といった症状を起こします。 以上から、勃起障害には、前立腺に伴う下部尿路症状による自律神経障害が影響を及ぼしている可能性が高いとされています。また、前立腺による精液の通過障害も考えられます。 年齢的には60歳以上から、前立腺肥大患者のEDの出現が自覚され始めます。ただし、加齢自体がEDの原因でもあるので、前立腺肥大だけがEDの原因となっているわけではありません。

「治療について」

■前立腺肥大の治療方法には、薬物療法と外科的治療法があります。

他に、健康食品については、ビタミン、ミネラル、サプリメント、ノコギリヤシなどが前立腺肥大症に有効とされています。しかし、これらは医学的には有効性は示されていません。 EDの治療には、ED治療薬が有効とされています。前立腺肥大が原因と思われるEDの場合もED治療薬を用います。 一方、射精回数の減少が前立腺肥大につながるともいわれています。従って、ED発症によって射精の機会が減少し、前立腺肥大を引き起こしている可能性があります。 EDへの不安を取り除くためにも、排尿に違和感がある場合は、専門医の診察を受けることが大切です。
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